フランスでは、ピレネー犬のことを「シャン・ドゥ・モンターニュ・デ・ピレネー」と言い、一般的にもっと親しみをこめて「モンターニュ」、「パトゥー」と呼びます。日本では「グレート・ピレニーズ」という正式名称がありますが、本サイトではフランス式に「モンターニュ」と呼んで、話を進めて行きます。
【犬種の起源】
モンターニュの起源を辿ると、必ず登場するのがチベタン・マスチフです。モンターニュに限らず、世界中の山岳犬の祖とされていますが、あの黒みを帯びた赤褐色の犬からモンターニュを想像するのには、些か抵抗があります。しかし、モンターニュには、白色だけでなく、頭部や胴部、或いは尾に、青みがかった灰色や薄い黄色の斑のある犬もいます。時の流れの中で、「白」への進化がなかったとは言い切れません。羊や山羊を、熊や狼から護る役目を任されていたモンターニュが、野獣と同じ色では、飼い主に区別がつかなかったでしょうから。
しかし、被毛の件はある程度納得出来たとしても、アジアに位置するチベットの高原から、この犬はどうやってピレネーの山に辿り着いたのでしょう。時代は紀元前に遡ります。不明な部分もあるのですが、アーリア人と西ゴート族の移動に関係しているという説があります。紀元前2000年〜1700年に、中央アジアからヨーロッパを目指した民族が連れて来た山岳犬がピレネーに定着し、見事なまでに環境に適応した結果、モンターニュが誕生したと言われています。
それを物語る事実として、チベットから大西洋に至る様々な山岳地帯には、モンターニュの親戚を思わせる犬が住み着いています。コーカサスのオーチャッカ、トルコのアクバッシュ、ハンガリーのクーバース、ポーランドのタトゥラ、ユーゴスラビアのシャルプラニナッツ、チェコのチャウヴァッチ、ドイツのレオンベルガー、スイスのセントバーナードとベルン・ブービエ、イタリアのマレンマーノ、スペインのピレニアン・マスチフ、ポルトガルのエストレラなどです。中でもタトゥラとマレンマーノは、誰が見ても「なるほど!」と頷ける程、モンターニュによく似ています。その他の犬も含めて、機会があれば是非、犬種図鑑で確かめてみて下さい。